引きこもりから自立へ

       ここで取り上げた3人のケースでキャリアウーマンの女性が気分をめいら
      せている理由がよく分からないではぶきます。まず最初の青年について考え
      てみたいと思います。
       彼の閉じこもりの原因は父親によるトラウマであると推定します。
       私が参考文献にあげた「毒になる親 ー子供は一生苦しむー」に書かれてい
      る話しとよくにています。
       先に取り上げた、テレビでの、彼がした父親との話し合いはカウンセラー
      の著者がすすめている、トラウマをくれた人との対決だと言えるでしょう。
       彼がどうしてそれをしようと思ったのかは分かりませんが、カウンセラー
      の指導通りのことをしたと言えます。このことはなかなか実行できないと
      その人も言っています。よく決断できたと思います。
       その後彼は一人で電車に乗って遠くまで出かけたのですから、実行の効果
      があったと言えます。知らない人は何のことだろうと思われるかもしれない
      と思うので、少し説明させていただきます。
      
       精紳分析医である彼女が多くの苦しむ人たちを見てきて、根本的には性格
      的なゆがみが原因である。その性格を作り出したのはトラウマを与えた虐待
      である。その考えの上での取り組みで多くの人を立ち直らせたとしています。
       このトラウマを克服するには、トラウマを与えた人との対決、言葉が激し
      いのですが、素直に話すことが不可欠だとしています。なぜ強い言葉、対決
      を使うのかと言うとトラウマを持つ子供は、よほど精神的成長をしないとで
      きないことだから、強い言葉で励ましているのだと考えていいでしょう。

       彼女に精紳分析を受けながら、自助グループによるトレーニングを繰り返
      して準備をするのですが、数ヶ月という長期間が必要だと言うことです。
       そして途中で止める人や、なかなか実行できない人などさまざまなようです。

       親との対決が実行できれば一応の成功で、親との仲が一気によくなるとい
      うことはほとんどないそうです。話し合いができるまでに成長すること、実行
      を決断できる勇気が大切だということだそうです。そして話したという事実
      が彼らのこれからの人生で最も大切なことだと言います。

       このときから彼らが親に支配されていた自分の人生を、本当に自分の手に
      取り戻すのだとも言います。
       私は、私の言葉で「自立の始まり」だと言いたいと思います。


       その意味で先に上げた青年は実行し、成功したといえるでしょう。彼が遠
      くへ一人で出かけられた事実が証明しています。


       私の場合父親は既になく、直接ぶつける相手がいなかったのですが、彼女
      はこのような場合は、お墓の前で話しかけるか、手紙を読み上げなさいと書
      いています。私はそのようなことはしていません。既に自立に向かって進ん
      でいたからです。必要がないと判断したのです。

       なおこの本には過激な表現も多く、心の傷がいえていない場合や感情や気分
      が安定していない場合、アルコールに頼っているような場合は読まないほうが
      いいでしょう。
       相当強い刺激を受けるので耐える力が要ります。彼女が読みすすめるのに条件
      をつけているのがうなずけます。
       私はザゼンという方法で心を落ち着け、あるいは癒しながらやっと卒業に近
      いところまでこぎつけました。
      そして「完全な自立」に近づいていることを実感しています。


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